野菜ソムリエとは、生活者視点で野菜や果物の魅力を伝える人のこと。
お教室では、レッスンのなかで、食材として使用する野菜や果物の栄養や効能、処理の仕方や保存の仕方、その野菜の持つストーリーなど皆様のお役に立ちそうなことをその都度お話ししていますが、
野菜ソムリエにはもうひとつの役割、生産者の方に生活者のニーズをお伝えするという使命もあります。
1月19日(土)、渋谷の日本野菜ソムリエ協会で開催された第13回野菜ソムリエサミットにアクティブ野菜ソムリエ(具体的な活動をしている野菜ソムリエ)としての立場で審査員をいたしました。
野菜ソムリエサミットというのは、野菜ソムリエだけで構成される審査員が、生活者の視点から農産物の評価をして、その声を生産者にフィードバックすることで、生活者と生産者をつなぐ品評会です。
今回は緑黄色野菜の代表格である「ホウレンソウ」がテーマでした。
カロテン、鉄を始めとするミネラル類、葉酸、ビタミンC、ビタミンB群が豊富で、
貧血を予防し、美肌効果が高いので、女性には特にとってもらいたいお野菜ですね。
旬の今、冬は夏に比べて栄養も甘みも増していますよ。
審査基準は2つ。
全国から出展された11点のホウレンソウたちが、味をつけずに同条件でゆでただけの状態になっているものが各審査員の席に置かれています。これらは、何も情報を与えられずブラインド方式で行う「食味評価」のためのものです。
その後、包装された商品の形で並べられたホウレンソウが展示されたテーブルに移動し、食味の評価から切り離して、「外観」・「資料から読み取れる生産者のこだわり」・「価格」の3点から審査する「購入評価」をします。
まずは「食味評価」

香り、食感、味(旨味・甘み)だけに神経を集中させて5段階評価、コメントをします。
普段何気なく食べているホウレンソウですが、本当に11点、それぞれに個性豊かなお味です。
情報が何もない分、味に集中できます。
このサミットに出展するというのは、相当なこだわりを持って、誇りを持って生産された自慢のホウレンソウだということ。生産者の方の熱い思いをかみしめながら、途中水でリセットしながら一つ一つのホウレンソウに真剣に向き合いました。甲乙つけがたいなかにも、特に噛むと口のなかに香りがふわっと華やかに広がるもの、自然な甘みがジューシーにほとばしるものがありました。
純粋に味のみをチェックした後は、「購入評価」に移ります。

これは、ネーミングの重要性を感じましたね~。
やはり、単に「ホウレンソウ」という表示よりも、特徴やウリをアピールした名前がわかりやすく、表示されているものが、手に取られると思うのです。
どれもこだわりのあるホウレンソウばかりですので、そのこだわりを短いキャッチコピーで包装に印刷してあったり、パンフレットにわかりやすく書いて添えてあったりすると、随分違うのではないでしょうか。もっと、アピールするとよいのに、と思うものがいくつかありました。
今回一番印象に残ったのは山形県天童市、JAてんどう 天童市野菜研究会の「赤根ほうれんそう」

大株の東洋種、極太の赤根が外観のインパクトもさることながら、甘い!
味をつけずゆでただけのものなのに、十分堪能できました。これは、バターソテーにしたらかなり美味しいと思います。葉の部分ももちろんしっかりしながら、ホウレンソウの甘み、しっかりした食感があって、お浸しにも、ソテーにもどちらにもよさそう。
ホウレンソウの赤根には、骨の形成に重要なマンガンが豊富に含まれているので、このようにたくさん摂れるのは嬉しいですね。
ホウレンソウそのものの外観もよし、ネーミングもOKだと思います。
お値段も100gあたり70円~80円とリーズナブル。
山形の一軒の農家が種子を大切に守ってきたもの、という歴史も素晴らしい。
青森県十和田市、十和田おいらせ農業協同組合の「TOM-VEGE ほうれん草(寒〆)」もバランスのとれた美味しさ。

しっかりシャキッとしたホウレンソウで、野菜の元気さ、健全さが伝わってくるお味。
寒〆とついているように、低温に順化させることで、糖度、ビタミンCが増す、厳寒の地ならではのホウレンソウ作りをし、鮮度保持パックにはオーラパックという特許をとった、他の鮮度パックより鮮度が長持ち物を使用。
これも100gあたり約80円と、努力の割にはリーズナブル。
高知県土佐郡土佐町、有機のがっこう 土佐自然塾の「ホウレンソウ」も、甘く、エグミが少なく、香りも口いっぱいに広がります。生食してもいけそう。

土佐自然塾というシールが貼ってあるのがいいですね。私が買い物してたら、間違いなく手に取ると思います。
あと、私の好みの味だったのは、東京都東久留米市 篠宮ひさしさんの「ほうれん草」

噛んでいるとじわ~と広がってくる、甘み、香り。お浸しにしたり、汁ものにいれたらよさそう。何の前知識もなく、美味しいと思いました。その後の購入評価のときに知ったのは、火山灰土壌で育ち、日本100名水に選ばれている地下水を吸って育ったホウレンソウだとのこと。堆肥などの有機質のものを入れ、土を柔らかくしているそう。だから美味しいのですね。そのへんのことを包装や、パンフレットにもっとアピールなさればよいのになあ、と思いました。100gあたり約50円というのは、今回出展されたホウレンソウのなかでは最もリーズナブル。ご努力なさっていますね。
生活者としての正直なところをお伝えするコメントを提出いたしました。出展なさった生産者の方たちは、自信を持って生産なさっていらっしゃるとともに、向上心のある方たちばかりだろうと想像します。よりよい農作物の生産につながればと心から願っております。
このようなイベントに参加しますと、食材のむこうにある生産者の情熱や思いに触れ、食材を大事に取り扱おう、素材をの持ち味を極力活かした美味しいレシピを考えようという気持ちが刺激されます。
美食とヘルシーの融合目指して私も頑張りますね!
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